Monsieurおむすび

マリアの旅のMonsieurおむすびのネタバレレビュー・内容・結末

マリアの旅(2020年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

抑制された人生を送ってきた老婆 マリア。
入院中に同部屋となった若いベロニカとの世代も価値観も違う交流を経て、生きることに覚醒していく。

こう聞くと年に1〜2本ある、老人のキラキラ映画にも思えるが、そんな生易しさはない。代わりと言ってはなんだが、力強く静謐な、厳かな趣きが全編を覆う。

マリアという名前や作中に登場する林檎、桃、ざくろは宗教的なモチーフであり、退院後に彼女が始める旅は、あり得たかもしれない架空の人生を辿るようで、再生や転生を思わせる。

全体的に大きな出来事や大仰に感情を揺さぶるような演出はなく、それこそ実際の日々のように淡々とした描写が続き、微かに変容していくマリアの機微を追う。
ラストは「そこまでいくか〜」と驚いてしまったが、それもまた色々と想いが巡る。
Monsieurおむすび

Monsieurおむすび