マリアの旅の作品情報・感想・評価

「マリアの旅」に投稿された感想・評価

pherim

pherimの感想・評価

3.5
ベルギーで老後を暮らすマリアが、担ぎ込まれた病院で親しくなった若きヴェロニカの死に直面し、慰霊の旅路へ。

荒涼としたスペイン沿岸を背景に、冒険心を取り戻しゆくマリアの表情変化が瑞々しい。旅場面から『イーディ、83歳 はじめての山登り』が想起され。


  『イーディ、83歳 はじめての山登り』 https://twitter.com/pherim/status/1219842125568692224
東京国際映画祭で観賞。始まりはベルギーの病院が舞台で、病室で知り合った70歳を超えた老女のマリアと若い女性の交流の物語。後から入院してきた若い女性とマリアは互いが同じスペイン出身ということで、親しく話す間柄となる。若い女性は、実は深刻な病状で、退院していたマリアに彼女が死去したという連絡が来る。引き取り手がいないため、遺灰は捨てられると聞いたマリアが、それを自分が引き取ると申し出て、彼女の故郷であるスペインのアルメニアまで届けようとする。

実は、ここまでが導入部で、この作品のメインストーリーはこの後に続く、スペインへの旅なのだ。これまで特に波乱のない人生を送ってきた彼女が、初めての「冒険」の旅に出る。いわゆる主人公のロードームービーなのだが、スペインの地でこれまで出会わなかった種類の人間と知り合い、彼女の人生に変化が起きる。遅れてきた自己覚醒の物語なのだが、若干セクシャルな味わいも加味され、マリアの自己変革の旅が続く。やや驚いたラストシーンだが、もしかしたらそこがいちばんの描きたかったところかもしれない。
病室で仲良くなった年下の女の子。彼女の遺族を探してマリアはしがらみを振り切り旅に出る。
初めての土地ではじめての出会い、経験。これこそ人生の喜びと描き出される美しい作品。
yas9

yas9の感想・評価

3.8
最初と最後の顔が違うもんなぁ。

ラテンビート映画祭

68/2020

このレビューはネタバレを含みます

TIFF2020にて鑑賞。スペイン制作。
冒頭は、定点カメラで部屋の入り口だけが映っていて、電話で女性が話している声だけが聞こえている。どうやら声の主は心臓発作で救急車を呼んでいるようだ。
暗転してシーンが変わると、病室のベッドで寝ている初老の女性が居る。マリアである。えっ!?自分で呼んだのか…!?と、この出来事だけでもう既に、一見、変哲のない地味に見えるマリアが実は行動力のある女性であることが窺える。
相部屋となったヴェロニカとの会話から、病院の場所がベルギーであることや、マリアもヴェロニカも共にスペイン出身であることがわかる。
若いヴェロニカは、ルールに構わず自由に行動をする。価値観の違いに驚いていたマリアが、段々と触発されて影響を受けていく姿は、好奇心旺盛なんだなぁ〜と可愛らしく思えるし、また、ヴェロニカもマリアに触発され、煙草を消したり、散髪を手伝ったりと気遣うようになったりして、2人の親交はとても素敵だった。
2人共、病気が治って、一緒にスペインへ行ければいいのに…と思っていたら、若く奔放なヴェロニカの方が実は難病で、マリアより先に逝ってしまうのである。とても残念に思った。
対して、元気になったマリアは、家族を放って単身、傍らに遺灰を持って、ヴェロニカのルーツを知る旅に出るのである。
もう入院する前のマリアではありません。家族が携帯に電話をかけてきても出ません。幼い頃から、そして結婚しても、常に家族のためにつましく厳粛に生きてきたマリアは今、水を得た魚のように、スペインで奔放に行動するのです。まるでヴェロニカが重なるようで、時々、ジーンとさせられました。

結論を伝えるような作品ではありません。ヴェロニカとの活気ある時間と対比して、マリア単身の旅は淡々としていて、終わりがありません。
でも、誰の人生だってそうですよね。終わりがいつかなんて分からないし、静と動が毎日めくるめくあるわけじゃない。でも、そこには必ず、人の数だけの、人間の価値と尊厳がある。
こういう静かな映画って私は嫌いじゃないです。
euuzak

euuzakの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

骨壷を置いてからの取りに戻ったシーン
めちゃくちゃ涙が流れた。。。
けどね ラストシーンよ。。。
そこで終わらすの?!って思った
Sayoooo

Sayooooの感想・評価

-
東京国際映画祭で鑑賞。

心臓病で入院したマリアは、同じ部屋に入院してきたヴェロニカとの出会いである目的のために旅に出ることになる…

序盤のマリアからは想像のできないほど、どんどんすてきになっていくのは見ていて気持ちよかった。
人間、年をとってからでも新しい考え方を受け入れられる人は強いし素敵だなと思った。
自分の意思を持ちながら、いろんな意見を取り入れられるようになりたいなぁ。

ラストシーンがとても好きでした。
ゆゆ

ゆゆの感想・評価

4.2
とても・・とてもよかった…
マリアがどんどんかわいくなっていってびっくりした
妻・母の肩書だけでなく、自分を取り戻していってるのがよくわかった
風吹きすさぶ塩の村もよかった

老齢の女性が自分を取り戻す物語、「ブリットマリーの幸せなひとりだち」を自然と思いだしたが、こちらの方が筋がしっかりしていて好きでした
doji

dojiの感想・評価

-
冒頭のマリアはほんとうに弱々しく、老いというものを感じさせる姿だったのに、たまたま居合わせたヴェロニカとこころを通わせたこと、そして無慈悲で唐突な死がヴェロニカに訪れるとことによって、大きな変化を迎える。その変化の過程と、マリアが辿る旅の道筋を並べて描く構成がよかった。

ぜったいに交わることのないような人との出会いこそ、旅がもつ持ち味だと思うけれど、旅先でのさまざまな人々と、新しいマリア自身との出会い。ラストの別人のような表情と生き生きとした姿には、ありふれたことばではあるけれど、年齢なんて関係ないのだなと感じさせるちからがある。どこか忌避されがちな老年期のセックスについてもさらりと触れているのもとてもよかった。生きるということと女性であること、その力強さを感じる一作だった。
175 2020/11/6 東京国際映画祭19本目

偶然の出会い、心を通わせたひとときに報いたいと一歩を踏み出し、尋ね歩くうちに出会った人々との交流から、広がり始める新たな自分。
年齢や病気を恐れず、新しいことに飛び込んでいける人は美しい。

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