見る角度で変わる二つの顔
ハンブルク、パリ、そしてニコラス・レイが全てを持っていくニューヨークで繰り広げられるアメリカン・ニューシネマスタイルのサスペンス。と言いつつ、2回の契約殺人は「007」を想起させる。後年の「スカイフォール」を薄めてグダグダにさせたような地下鉄追跡シーンと「ロシアより愛をこめて」のような長距離列車での暗殺はその"シロウト"感の塩梅が良かった。
デニス・ホッパー演じるリプリーの異物感がやはり心に残り、アメリカンスタイルが異国情緒を示すアイテムに見えてくるのは新鮮だった。
ブルーノ・ガンツの怪演も光るが、この映画で観られる彼の顔はどことなく役所広司を思わせる。