カタパルトスープレックス

マッドマックス:フュリオサのカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

3.1
ジョージ・ミラー監督による「マッド・マックス」シリーズ最新作で初のスピンオフ。前作に登場したフュリオサが主人公。IMAXで鑑賞。

「マッド・マックス」シリーズの本当の主人公って「狂気」だと思ってます。これまでの主人公だったマックス・ロカタンスキーって影薄いでしょ?しっかりとしたキャラクター造形がされてこなかった、主人公なのに。むしろ「狂気」を代表するヴィラン達の方が印象に残っている。

「狂気」の象徴は初代ならトーカッターだったし、二作目はヒューマンガスだった。三作目は飛ばして四作目のイモータン・ジョーはその結晶のような存在だったわけです。三作目が駄作と言われるのはティナ・ターナーの狂気が足りなかったからだと思う。

本作における主人公は「狂気」じゃない。ヴィランのディメンタス(クリス・ヘムズワース)にそこまで狂気を感じない。その対立軸のイモータン・ジョー(ラッキー・ヒューム)のインパクトが強すぎて、キャラが立たない。超えろとは言わなけど、もっと特色が欲しかった。本来の主人公である「狂気」が足りない。やっぱり本作の主人公はフュリオサ(アニャ・テイラー=ジョイ)になってしまう。

ストーリーは前作『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の前日譚で、フュリオサの生い立ちの物語となっている。かなりご都合主義になっているのは否めない。あんな少女があんな中で無事に生き延びれるはずがなかろう。女であることを隠しようがないだろ。そこにはもっとストーリーに説得力が欲しかった。

キャラクター造形はフュリオサが中心になるのだけど、前作ほどの魅力は感じなかった。それは役者の演技というより、ストーリーに乗れなかったからだと思う。