Maco

マッドマックス:フュリオサのMacoのレビュー・感想・評価

4.8
公開から10日程経ったタイミングで鑑賞。
情報は入れないようにしていたものの、漏れ伝わってくるあまり芳しくない感想。
軽く心配はしてたけど、結果杞憂でした。
前作がファナティック過ぎたから、「アレ」を求めちゃうと路線が変わってしまう。
あくまで前日譚。
そりゃ、セロン姐さんに比べたらアニャは線が細いさ。でも、あのフューリーロードにおけるフュリオサに至るまでの話だからね。
寧ろ、フューリーロードにおけるフュリオサは、確実にフュリオサママに近づいていて相当エモーショナル。

フューリーロード的なスペクタクルは確かに減衰されたかもしれない。
40日戦争もナレーションのみ。
でも、それは前作から9年、年月以上の変革があった世界に対するジョージ・ミラー監督の誠実なアプローチなんだと思う。
代わりに、その9年で撮影技術は格段に進歩した。スペクタクル性は寧ろ上がっていると思う。
ドローンによるダイナミックな空撮。
それによる3Dの空間を活かした映像は、ホント最高。
バイクから飛び降りてスケーティングしたと思いきや、パラシュート開いて空に飛び立つ・・・
日本の映画館じゃなかったら、「フォー!!!!!」と叫んでた!!!
カッコ良すぎる!!

他にも3D的な動きは随所に見られたけど、特に印象的だったのは、ディメンタスの駆るモンスタートラック「シックスフット」の走破性。
普通なら迂回する丘を、そのまままっすぐ登っていく。
丘陵=人生の障害に対してのアプローチがすごくよく描かれている。
ディメンタスもフュリオサも、モブが超えられない丘を軽々と越えていく。
しかし、未来に対するアプローチが違う、
ディメンタスは、諦観。
復讐だけ、怒りだけの人生を終わらせたいと思っている。
対するフュリオサは、その名の通り常に怒り、復讐心を眼に宿らせ続ける。
しかし、フュリオサが選んだのは、死には死というマッドマックス的な復讐ではなく、「再生」への道。
女性が「産む機械」としての存在意義が大きいシタデルに置いて、男性を「種付け」以外の意味で「実を結ぶ」存在に変えてしまう・・・という決着。愉快痛快最高!


今回は、銀英伝で言う「後世の歴史家」、ヒストリーマンが語った叙事詩という形式をとっているので、よりファンタジーっぽい。
でも、ウォーボーイズに代表される「自己犠牲」を美化することなく、ディメンタスのようなしょうもないヴィランを劇的に描くこともなく、「飽きたー」とか言わせてる。
その辺の、神話、御伽話だとしても美化しすぎないっていうのが、本当にかっこいい。
フューリーロードだけでなく、1からちゃんと見直したいな。
Maco

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