Maco

オッペンハイマーのMacoのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
5.0
オスカースイープも納得の大傑作。

ただ、日本人だからなのかわからんが、ずっと胃が痛かった。
オッピーの努力や才能が実を結んでも、世界有数の科学者、技術者がアッセンブルしても、全然気持ちが上がらない・・・。
最悪の悲劇が待っていることがわかっちゃってるから。

ロスアラモスの研究者の中に、ソ連のスパイではなく原爆開発阻止のために逆行してきた未来人がいればよかったのに・・・。
でも、それでも、共産圏なりナチの残党なりが原水爆を作ってしまうんだろうな。プロメテウスはオッピー1人ではない。

時系列があちこち飛んでいく編集は、『メメント』っぽくあるが、別にわかりにくくはない。
それぞれが繋がっているので、よりオッピーの苦悩が際立つようになっている。
それは、キリアン・マーフィ始め豪華俳優陣の演技力はもちろんだけど、その表情を見事に描き出したホイテマさんの力量によるものがとても大きいと思う。さすがアカデミー撮影賞!!
今まで、IMAXはスペクタクルやアクションに没入するためのもんだ、と思っていたけど、人物に没入するためにも使えるんだな~と強く認識させられた。
微細な表情の演技。短い焦点で人物を切り替えながら進んでいく会話劇。
ドラマチックでない場面でも、ドラマチックに心に刻まれる。
IMAX撮影にこだわってきたノーランの到達点なのかもな、と思った。


それにしても、ほんと食らっちゃった。
もう、世界は破壊されちゃってるんだよなぁ。
いつ破滅してもおかしくないってことは、もう破滅してると同義なのかも。
ああ、いやだいやだ。
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