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ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-のKUBOのレビュー・感想・評価

3.7
アカデミー賞の発表前に、日本で見られるノミネート作品をできるだけ見ちゃおうシリーズ3作目は、グレン・クローズが助演女優賞にノミネートされている『ヒルビリー・エレジー』。巨匠ロン・ハワードによる Netflix オリジナル作品だ。

見ていてずっと辛かった。だらしなく麻薬中毒で子供に手をあげる母親(エイミー・アダムス)。言ってることもやることも子供より自分勝手で無責任。

店内で暴れて注意されても謝れずに逆ギレ。終いには子供連れで商品を万引きして逃げる。

息子の J.D. は今は名門イェール大学に通う苦学生だが、生まれはケンタッキー州で白人貧困層の家庭で育った。映画は彼の幼少期の母や祖母との辛い暮らしと、現在の暮らしとが交互に語られる。

ヤク漬けの母親役のエイミー・アダムスがすごい! 自分の尿検査に、麻薬の反応が出ないように、代わりに息子に尿を入れるように強要するところなんて、もう親として終わってる。

私だったらこんな親、縁切って見捨てるけど、本作の家族はどんなに理不尽でも見捨てない。このどうしようもない母親に代わって J.D. を引き取りまともに育てたのが超きびしいばあちゃん(グレン・クローズ)。

ロースクールから弁護士を目指す J.D. だが、生まれを「レッドネック」と言われ「差別だ」と気色ばむ。

「レッドネック」とはアメリカ南部の白人貧困層を指す差別用語だが、そんな問題を多く抱えた J.D. を救ったのが祖母の教え、

「生まれは変えられないが、未来は自分で選べる」

エンドロール見て驚いた。これ、実話だったんだ! しかも、グレン・クローズが演じたおばあちゃんも、エイミー・アダムスが演じたお母さんも、本人とそっくり!!!

エンドロールのテロップで現在の彼らの様子を見て救われたけど、見ている間はこのクレイジーな母親にイライラしてなかなか辛かった。

確かにカミナリばあちゃんを演じたグレン・クローズの演技はアカデミーノミネート級の迫力がありました。
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