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私は確信するのbeachboss114のレビュー・感想・評価

私は確信する(2018年製作の映画)
4.0
警察の捜査はザルだし、裁判の進行も頭悪いからイライラさせられるんだけど、役者の力で最後まで見せる。

特に、最終弁論がいかにも舞台劇な設えだから、役者さんとしても力の入る所なんでしょうね。確かにあの場面は映画的興奮と映画的快感に満ちている。

にもかかわらず、どこかモヤモヤ感というかフラストレーションが残るのは、この裁判があくまで「被告人の無罪か有罪か」を争うものであって、真犯人を捕まえるのはまた別の話(別の裁判)になるから。カタルシスのポイントが違う。

まぁ、現実の裁判なんて、映画と違って意外と頭悪くて筋が通らないことも多々あるし、味方の弁護士の「結局は他人事。自分には仕事の一つにすぎない」ってスタンスにしても、感じ悪いけどリアリティあるっちゃある。

最後のテロップで「主役のシングルマザーだけがフィクション」って出されるのが興ざめも甚だしいんだけど、逆に考えれば、作り手の思惑やメッセージはそこにすべて込められていることになる。

要は、正義が全うされない世の中や仕組みは間違ってるし、各々が声を上げて変えていかなきゃならないのは百も承知。とはいえ、みんな自分の生活でいっぱいいっぱいだから、まともに構っちゃいられない。そんな中、このシングルマザーは自分の生活を犠牲にしてまで他人に尽くし、正義を貫きましたよ、って話。

そこは素直に感動しておいていい。
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