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ドント・ブリーズ2のblacknessfallのレビュー・感想・評価

ドント・ブリーズ2(2021年製作の映画)
3.2
あの盲目のキリング・マシーン爺さんが帰ってきた。
舞台は前作から8年後、爺さんは一軒家でローティーンのフェニックスという少女と暮らしていた。そんなある日、武装した数人の男達が爺さんの家を襲撃する。奴らの狙いはフェニックス。ある理由から奴らはフェニックスを必要としていた。フェニックスを巡りキリング・爺さんと奴らの死闘が始まる。


【以下ネタバレあり】

あらすじに前作を上回る驚愕のストーリー展開とあったけど、確かにその通りだった。
前作を見てれば爺さんがイカれてしまってるのがわかってるから、フェニックスを拐ってきたのは予想できたけど、フェニックスの両親が彼女を取り戻そうとして仲間を引き連れて来たのと、フェニックス奪還の動機が愛ではなく心臓が弱り余命がない母の心臓移植のドナーにするためだってのは予想外で驚いた👀‼️しかも両親は麻薬密売組織のボス。
フェニックス、可哀想だよな。親族だと思ってた爺さんが狂った悪人で、真実を知らせ救い出してくれた親が犯罪者で鬼畜だったわけで、、最後に両親達から爺さんがフェニックスを救出して、彼女に懺悔し彼女はそれを受け入れ、彼女は実の両親が付けた名前であるタラではなく爺さんが付けたフェニックスとして生きる決心して美しく終わる。誘拐した子を真摯に育てた親の話になってるんだよ。日本映画であったよね?そんなの、小説原作で。これはこれで悪くないんだけど、本シリーズの売りである盲目殺人鬼としての怖さや限定空間で盲目に狩られていく恐怖が弱いのが残念だった。

まず、1回戦目は爺さんの自宅なんで前作のような家の間取りを知り尽くしてることで盲目とは思えぬ動きで一人一人敵を倒していくから、まあまあよかったんだけど、問題はフェニックスが両親達のアジトに連れ去れてからの2回戦目なんだよ。
まず盲目なのにどうやってアジトまで行ったかなんだけど、詳しくは言わないけど、これはけっこううまく処理していた。
で、アジトに行ってから敵を倒していくんだけど、これはかなり無理を感じた。間取りも何もわからないのにスムーズに動くし、敵の位置も正確に把握し物まで投げて敵を倒したりする。アクションが全て人間離れしすぎなんだよ。もう、デア・デビルの域なんだよ笑 前作は知り尽くしてる自宅だから盲目でもここまで強いんだよなって驚き感心することができて楽しかったんだけど、それが後半なくなってシラケた。

あと、前作は爺さんをジェイソンやブギーマンのようにスラッシャー映画のスラッシャーとして位置づけていて、殺傷力能力の高いクリチャーに遭遇した人間が恐怖し殺されていくホラー的なスリルがあったんだけど、今作は爺さんを悪人から少女救い出す、ダーク・ヒーローにしてしまってるからホラー的な魅力がなくなってしまってる。爺さん目線で爺さんの悲哀を見せつけられる構成になってしまってるのが痛い。
これはここ十年ぐらい続いてる良くない風潮。ロブ・ゾンビの『ハロウィン』とかに顕著なクリーチャー側の背景を掘りすぎ感情移入を促してくるやつ。ホラーファンも作り手も基本、クリーチャーが好きだから、そうしたくなるのは分かる。背景に思いを馳せたりするし。けど、これをやり過ぎるとクリーチャーの神秘性が削がれて魅力が減退するし、了解可能な領域が増えることで怖さが薄れるんだよ。
こういうのは匂わすぐらいにして観る側の創造力を掻き立てるぐらいでいいんだよ。それに行動原理が全て分かるクリーチャーに魅力はない。タネを知ったマジックに感動できないのと同じで。
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