あみのさん

セブンのあみのさんのレビュー・感想・評価

セブン(1995年製作の映画)
5.0
数あるサイコサスペンスもののなかでもピカ一の完成度を誇る傑作。
フィンチャー独特の暗い画作りと物語の暗さが絶妙にマッチし、物語の陰惨さをいっそう引き立たせている。
全編に渡ってダンテやミルトンなどの文学、ウォーホルやギーガーなどの現代芸術が引用されているので、この辺の知識があるとより楽しめるかも。この引用もまた、物語の哲学性を生み出している。形だけじゃなく意味をわかって引用するのは色々解釈できそうでいいよね。
ラストは一見とてつもなく救いがないようにも見えるが、老刑事サマセットの一言が一抹の希望を与えてくれている。こんな世界でも、「闘う価値はある」のだと。世界の醜さを見続けた男から、全てを失った男へのエールなのではないだろうか。
あみのさん

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