前からNetflixにあるのは知ってたけど観るのが怖くて意図的に避けてしまっていた本作ですが、遂に鑑賞しました。台詞のない無声劇であり、直接的な描写が無くとも丁寧な演出と回想によって銃乱射事件の残酷さとそれによって一人娘を喪った被害者遺族の哀しみが巧みに描かれており、短いながらも強い印象を遺す、見応えのある作品でした。途方もなく恐ろしく、哀しい事が起きてしまったという事が分かるし、(犠牲者の女の子、お転婆で朗らかな良い子だったんだなぁ…)という事実がダイレクトに心に伝わりました…。
よく「銃が人を殺すのではない、人が人を殺すのだ」というNRA(全米ライフル協会)の標語を口にする人を見かけますが、どうしたって「悪人が撃った“銃”」によって命を奪われた人が出てきてしまうし、その事実…というより喪失を被害者遺族は突き付けられ、抱えていかなくてはならなくなる事に変わりはない筈です。先の標語は確かに“正論”かもしれないけれど、正論はあくまで正論に過ぎず、いくら声高に叫んだところで何かが変わる訳でもないし、そもそもこの世の絶対的な真理でも何でもない。というか、本作に出てきた夫婦のように傷付いている人達がいる中でそう安々とこの“正論”を言おうものなら余計彼らの傷を深めるだけか、神経を逆撫でするだけでしょう。ただ虚しいだけです。
銃器所持とはほぼ無関係の国に生まれた身の自分がこんな事を言っても何かが変わるわけでも無いでしょうが、観終えた後にはそんな事も考えたりしました。
