Newおみず

M3GAN/ミーガンのNewおみずのネタバレレビュー・内容・結末

M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

劇場逃しましたがようやっとレンタルで鑑賞。

鑑賞前にディスクに記された“R-15”の字を見て(あれ、この映画ってPG-12じゃなかったっけ?)と思いましたが再生してみて納得。劇場公開時はPG-12指定(アメリカ本国ではPG-13指定)で公開され、今回のソフト化にあたって再編集を行いゴア猫写を強化したR指定相当の“アンレーテッド版”が同梱された模様(要するに「TED」の逆パターンね)。
聞けば元々はR指定作品として制作していた所を急遽PG-13指定作品として作り直したとのことなので、ある意味元のコンセプトに近付けたと言えるのかもしれません。ただそのゴア猫写ですが、個人的にはあまりエグさは感じず、PG-13指定作品のそれに毛が生えた程度…というかアッサリした印象を受けました。

お話をザックリ纏めると、新製品開発に追われる玩具会社勤めで仕事人間の独身女性の元に事故で両親を亡くした姪っ子がやってきて、たまたま開発中だった試作品のAIに雑なプログラムを仕込んで子守を任せてたら色々と大変な事になる…といった所でしょうか。内容についてはオチまで含めて概ねありふれたものではありましたが、チャッキー含めこれまでの殺人人形には無いユニークさを持ったミーガン人形の程好いおっかなさを楽しめましたし、終盤のミーガンとの直接対決でのある展開には拍手喝采でした。やっぱり機械は自動制御させるより自分で動かした方が楽しいよね。キャスト陣も総じて演技力高くて満足。姪っ子役の子役さんも癇癪起こした子供の演技が解像度高くて名演技でしたが、何より本作のMVPは後述のミーガン役の役者さん。いやホントに凄かった…!

正直、観る前は(え、これこないだやって大コケしたリブート版「チャイルド・プレイ」と思いっ切りネタ被ってね?)と思っていたのですが、成る程これは本作の方が一枚上手でした。不気味の谷一直線なミーガン人形のデザインも気持ち悪過ぎず可愛過ぎずと良い塩梅で、しかも急拵えの試作品という設定にした事でビジュアルと設定がそれほど乖離しておらず、それなりの説得力がありました。一方のリブート版「チャイルド・プレイ」はというと(どう考えても売れ筋商品にはならんだろ…)としか思えないオリジナル版より一層気色悪くなったデザインのチャッキー人形が老若男女問わず大ウケしてる大ヒット商品になっているという設定で、作品への没入感を削いでいた様に思えてなりません。それにこっちは「ミーガン」と違ってオリジナル版が存在し、しかも(そのオリジナル版が当初予定していた原案を再現したものとはいえ)そのイメージと大きくかけ離れたものにするという大冒険に出てしまったのも良くなかったかもしれません。そういう意味では完全オリジナル新作の「ミーガン」に分があった…と言えなくも無いですが、両作の差はそれだけとも思えません。本作は敢えて人間のプロダンサーに人形役を演じさせるという逆転の発想により、今までに観た事の無い独創的な動きを表現する事に成功したと言えます。人の形をした機械がこの世のものとは思えないスタイリッシュかつ異様な動き方で人間たちに迫る。これこそ、今までの人形ホラーになかった良さでした。こんな動きが出来る人がこの世界にいるだなんて、何だよ人間もまだまだ機械やAIに負けてないじゃないか。と、そんな本作が訴えようとしている事とは真逆な事を思ったり思わなかったり。いやでも実際、この方が一番「ミーガン」のヒットに貢献してると思います。劇場公開時に幅広い客層を確保しやすいPG-13(本邦ではPG-12)指定で公開したというマーケティング的な勝因もあったかもしれませんが、ダンスの動きを取り入れたミーガン人形独特の挙動もまた観客達を惹き付けた事は間違いない…ハズ。人形ホラーに新しいムーブメントを引き起こした本作と、その主役を演じたダンサーさんに万歳!

P.S.まぁそれはそれとして自分はミーガン人形よりブルースの方が欲しいです。あれで「パシフィック・リム」ごっこするんだ!!!
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