Newおみず

バトル・ロワイアルのNewおみずのネタバレレビュー・内容・結末

バトル・ロワイアル(2000年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

何だかんだ観てなかったのでつい先日鑑賞。原作は未読です。

正直な感想を言うと、つまらなくはなかったし面白いっちゃ面白いけどぶっちゃけ過大評価じゃね…?といった所です。まだ邦画に勢いが感じられた(しかしほぼ止まりかけてる)頃の作品といった感じでしょうか。なお、受け取り方には個人差があるとはいえ、ゴア描写は自分が想像していたよりかは過激な印象は受けませんでした(それでも派手過ぎない分生々しさもありましたが)。一方で漫画版はかなりエグめの死亡シーンが多いみたいです(こちらも未読)。

序盤はかなり勢いがあって良かったです。修学旅行に行くはずが突如として日常から非日常へと叩き込まれ、言わずと知れたキタノの「今日は皆さんにちょっと殺し合いをしてもらいます」の下りからBR法という不合理かつ異常な法律に基づくデスゲームが始まる一連の流れは確かに観る者を一気に引き込むものがありました。しかし、中盤以降の展開は群像劇という形を取りたいのか、若かりし頃の藤原竜也さん演じる七原を始めとする主人公グループに焦点を当てたいのか、どっちつかずな印象が否めません。川田が七原達と行動を共にする動機も浅いというか…。熱を出した中川を連れていたからとはいえ、前プログラムで最終的に彼女さんと殺し合った過去を持つにしてはあっさり信用してるのは少し違和感あります。あと台詞回しも少し大袈裟な感じがしました(致命傷を負ってから台詞を言ったりするシーンも結構多くて何だかなぁ…)。でもって要所要所でテロップで台詞挟む演出。アレは何なんだ。エヴァ旧劇場版を意識してるのか(宮村優子さん出演させてるし、絶対意識してそう)。それと、終盤のキタノの絵。あれは演じるビートたけしさんの素が良くも悪くも役柄に出た感じがします。滅茶苦茶狂気じみてて怖かったけども、観てる最中(家にも職場にも居場所が無かったにしてはそんな絵を描く余裕とか時間とかあったんかい?)とか(いつどうやって持ってきたよ?)とか余計な事を考えてしまいました。そんなこんなで演出面では結構疑問符が浮かぶシーンもありました。ついでに言うと、ぶっちゃけ殺し合いのシーンよりも回想で職にあぶれた七原の父親がレストランで自暴自棄になってるシーンの方が精神的に堪えました。あの場面、七原が退屈そうにメニュー持ってる所もまたエグいのよね。(何で親父オドオドしてんだろ〜?)みたいにのほほんとしてて、自分と父親が置かれている状況を理解もしてないし関心も持っていない感じというか、子供の無自覚かつ悪意のない残酷さも感じられて。

また、キャラとしては“転校生”という名の賑やかし要員で川田とセットでブチ込まれた桐山が印象に残りました。原作とは大分違うキャラになってるそうですが、話を聞く限りでは自分は映画版の桐山の方が好きです。原作版は(おそらく同作がその手のキャラの走りになったのでしょうが)、「容姿端麗!頭脳明晰!身体能力抜群!戦闘力53万!そして無感情!」という如何にも「ぼくの考えた最強のラスボスキャラ」………とは言わずともベタな設定の敵キャラといった感じだそうで、原作そのままの桐山が出てきていたら多分かなり白けてたと思います。何というか、そういうキャラはあまりにもキャラクター然とし過ぎていて逆につまらない。しかし、映画版は敢えて詳しいバックボーンを描かず、興味本位で自分から志願してプログラムに参加し、感情もあり、殺し合いを全力で楽しむ生粋の戦闘狂として描かれており、自分としてはこういうキャラの方が面白いし、適度に人間味が感じられる分俄然格好良いと思えましたし、原作の桐山と違って一切台詞が無いのもスピルバーグの「激突!」のトレーラーの運転手みたいでおっかなかったです。あと、人物背景の一切を敢えて省く、というのは上手くいけば「分からないからこそ余計怖い」、下手すれば「説明不足過ぎて意味不明」という二択になるかと思われますが、この桐山については前者に該当するキャラになっていたと思います。まさに良アレンジ。

最後に、本作は今をときめく大物俳優陣の若手時代を観られるという意味で貴重な作品です。藤原竜也さんはこの頃からもう(良くも悪くもオーバーな)演技の下地が出来上がってるし、柴咲コウさん演じる相馬もアグレッシブで怖いし、栗原千秋さん演じる千草も台詞回しが少しクサいけどカッコ良かった!そりゃタランティーノも気に入るわ!

一度は観て損はない、でも一度観れば十分。自分的にはそんな映画でした。
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