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微温のarchのレビュー・感想・評価

微温(2007年製作の映画)
4.0
同じ部屋で撮ってるだろう初期短編だとこれが一番上手い。
1Kぐらいの手狭の部屋、敷きっぱなしの布団、そこに男女が居る。大学生的(働いてなさそう)生活感が漂い、二股浮気はデフォルトの恋愛映画。
恋愛ぐらいしかすることない、或いは、誰かを好きになる/好きになられるの関係に当たり前に入れる人たちの話で、この頃から「持ってる人」達の話なんだよなぁ
そこが心かきむしってくる部分であり、今泉力哉作品の好き/嫌いなところ。


ベランダオナニーを起点とするコメディの展開が白眉で、トイレットペーパーがひとつのダイナミズムになる、動きのなさを活かした構成が上手い。また本作以外だと画面内に男女が2人、みたいな平坦な画面ばかりな中で高低差を活かした場面でもあり良い。
二股やら不倫みたいなこれまで映画では「良くない」とされたことを描くところにひとつの勝算があったのは分かるが、今泉力哉作品の作り出した邦画の流れで今やそれすら食傷気味な気もする。つまりそれはあるある感の延長にある"リアリズム"の限界でもあって… 果たしてこの先どうなるのかな…
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