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ダーク・アンド・ウィケッドのLzのレビュー・感想・評価

3.7
想像していたよりも本格派の悪魔系ホラー。
日毎起こる出来事は非現実的なのに、人物の感情や境遇がリアルな為に感情移入をしてしまって、怒涛の地獄展開に胸が痛くなった…。
悪魔に目をつけられた人物がどんどんと自分を失っていく描写が余りにも酷。見てるだけで自分もその場から逃げ出したくなる厭さであり、希望さえも罠と化す、理不尽な恐ろしさがあった。

とあるシーンで「いやもう最っ悪!」って思わず叫んで頭抱えてしまった…。ため息も出るし息も詰まるし言葉も失うしああこれが悪魔の成せる仕打ちなのねと絶望した。
お国柄の違いもあって悪魔を怖いと思う感覚が今まであまり無かったけど、彼らが何故悪魔にそんなにも怯えるのかがわかった気がした。ただの幽霊の比じゃないんだなって。生前が人間である死霊の呪いや怨恨とは違う、完全に不可侵で防ぎようのない、理解の反対側の領域に存在しているのが、悪魔。

恐怖演出は、ホラー好きな人なら慣れてる演出が多用されてる。なのでその演出に恐れるというよりは、展開の絶望さに恐怖を覚える。生きてるからこそ降りかかる地獄に顔が歪む。キャストの演技もじめじめした雰囲気に合っていて、救われなさに満ちた表情が良かった。

結局どんな理由があって、どんなカラクリで、あの出来事が起きたのかは明確には分からずじまい。でも実際にあんなことが起きたら、人間の力では分からずじまいなのが普通だと思うから、その点では現実味のある恐怖を感じて良かったかも。全部謎が解かれて解決に向かうと恐怖が冷めていく時もあるので、この謎に満ちたまま絶望の渦に飲まれるのは個人的には好きだった。
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