maverick

サムジンカンパニー1995のmaverickのレビュー・感想・評価

サムジンカンパニー1995(2020年製作の映画)
4.3
2020年の韓国映画。1995年のグローバル化元年の韓国を舞台に、企業に勤める3人の女性社員を主軸とした痛快お仕事コメディ。『グエムル-漢江の怪物-』のコ・アソン、『愛のタリオ』のイ・ソム、『スウィング・キッズ』のパク・ヘスが主要の3人を演じる。


コメディベースで楽しく物語は進む。1995年の当時の描写もコミカルで良い。女性社員のコスプレのような制服も、実際あんな感じなのだから何だか笑ってしまう。監督が意識しているのか分からないが、作品の雰囲気としては当時の日本のお仕事系コメディドラマを彷彿とさせる。女性を中心としたドタバタコメディとして、何だか懐かしさを感じさせる。

女性社員たちはコピーを取ったり、お茶を出したりの雑務ばかり。一流企業に就職したものの、その意欲を発揮する場もない。過去の日本もそうだが、ほんとおかしな時代だなと思う。そんなことにもめげずに頑張る3人だが、途中から話は大きく方向転換する。実は会社の工場から工業廃水が川に流れ込んでおり、それが近くの村に深刻な被害を及ぼしていた。本作は、実際にあった企業の環境汚染事件が基になっている。単なるお仕事コメディではなく、まさかまさかの社会派作品の要素も担っているのだ。会社での成功を求めて精進しながらも、会社自体の在り方に疑問を持つ3人。自分達はどうすべきなのかを追及してゆく。彼女らが出した答えには思わずうなずいてしまう。熱い感動的な話だ。社会全体がこうあってほしいと、そう願わずにはいられなかった。

3人の女性主人公らが上手くキャラ分けされていて良い。英語の発音がたどたどしいのは演出上狙ってやっているのだろうが、ちょっとコミカルすぎるかなとそこは気になった。3人の演技力がそこまで活かされてないのも少し残念ではある。でも笑わせるところでは笑わせ、感動させるところではしっかり泣きを誘発させるのはさすが。魅力という点では3人とも申し分ない。3人の中では、コ・アソン演じるジャヨンが1番好きだな。


韓国では有名な環境汚染事件。それをベースに痛快劇に仕上げているのが見事だ。女性の社会での在り方、働くことの本質なども上手く絡めてある。社会人には是非とも勧めたい一本だ。エンディングはスーパーファミコン風のドット絵でほっこりする。良い作品だった。
maverick

maverick