韓国の田舎の方かな、とても緑が多くて雄大な感じがする。
なし崩し的に犯罪サスペンスっぽくなっていってしまう感じとこの風景と人間関係のGAPがとても良かった。
卵を打ってるけど、実は裏で“闇バイト”してる男2人。
片方は足が不自由で、片方は口がきけない。
この凸凹コンビが、いつもの“闇バイト”の範疇を超えた仕事を無理やり請け負わされる。
それは、身代金目的で誘拐した女の子を数日間預かる、というもの。
どうやらその親が身代金の支払いを渋ってるらしくて交渉が難航しているんだとか。
そこで口のきけない若い方にその子が押し付けられる形になる。
その男の家はど田舎で、周りに他に家もないようなところ。
実の妹がいて2人で暮らしているが、生活水準としてはギリギリ。
そんな2人生活の中に、さらに、どこの子だかわからない女の子が追加される。
すると、その仕事を押し付けてきたボスが失敗してその上のボスに消されてしまう、、、。
この依頼は誰が引き継いでくれるのか、身代金はいつ支払われるのか、どこでお金を回収するのか、誰が、、、。
女の子を数日預かるだけだと言われた話が、色々トラブルもあったりして、いつの間にかそんな話があったのか、なかったのか、それすら怪しい感じになってくる。
口がきけないことで、表情やジェスチャー、行動で意思を表明するぶっきらぼうの彼が、実の妹と連れてきた女の子2人と生活し始める。
もともと“育ち”が良くないこの兄妹の中に、比較的“育ち”が良い子が入ることで、色んな意味で彼らに安心と秩序と連帯感みたいなモノが生まれる。
ベースが“闇バイト”だったり、不可抗力的に結果的には“誘拐犯”となってる物騒な話なのに、どこか優しさが滲み出てくるような。
連れてきた子も帰りたいはずなのに、こんなあまり綺麗とは言えない他人の家からは早く出て親元に帰りたいはずなのに、、、。
そもそも自分に対しての“身代金を払うことを渋られてる”という事実も薄々気付き始めてきて、11歳という微妙な年頃の女の子としてはとても複雑な心境。
その辺を察して、不器用でぶっきらぼうで言葉を話せない彼が彼なりに、彼女を気遣ったり、思いやる。
その不器用さを11歳の女の子が“察して”それを受け止めたり。でも、たまには11歳らしく、彼に噛みついたり。
そして、この最後の結末。
バッドエンドに思えなくもないけど、お互いのいるべき場所に戻る、それがお互いのためだと理解している感じ。
戻ったところで良いことはないのかもしれないが、とはいえ、ずっとそのままのわけにもいかない。
実際問題として少しずつトラブルが重なり始めていよいよ色んなことが破綻しかけている。
それらをお互いで“察して”選んだ結末、、、なのだと思う、そう思いたい。
この連れてこられた女の子の演技がとても良い。複雑な状況の中で、複雑な心境を抱えながら、口のきけない男と一緒に過ごすというすごい環境を見事に伝えてきて胸を打たれた。
ユアインも久しぶりに観たけど、言葉を話せないこの男と、この女の子の間柄が、この風景とマッチして、とても優しく、切ない感じで良かった。
風景も、サスペンスも、人間関係も“トワイライト”だった。
※24年3月、映画オススメブログ、始めました。
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