このレビューはネタバレを含みます
荒削りだけど大きく感情を突き動かすものと、丁寧に緻密に、だけれど1つ1つが高いクオリティでつくられた感情を突き動かすもので分けるなら後者。低い温度だけど、ずっと最初から最後まで何かが燃えさかっているような。
そして演出がうまくて、三時間退屈させない作りと、映画だからこそ効くような見せ方や伝え方が随所にありうまい、、となってしまう。嫌な意味ではなくて。
そして西島秀俊と三浦透子の演技の素晴らしさ。西島秀俊にいたっては、精神を削って削って役に入っているのがつたわってきた。
西島秀俊にやってほしいと監督が熱望したように、西島秀俊以外にこの役は考えられない。三浦透子の演技は初めてしっかりみたが、聡明で抑えた飄々とした演技に惹き込まれて、一気に好きになってしまった。タバコに火をつける姿がまたいい。車から空にタバコをかざすシーンは映画ならではなベタなかんじありつつも好き。
みさきの母親に対する、言葉に言い難い感情や、家福の奥さんに対する感情は、人間って、生きるって、他人と関わるって、そうゆうものだと痛感させられる。
わたしは言葉にできない感情に出会うとわくわくする。人間でよかったと思う。いい感情も、辛い感情も。だが、それを言葉にせず、あきらめてしまう。それを突き詰めようとするこの映画の姿勢がすごく好きだと思った。
死とは、つらいこの世を生きていくとは、
他者を理解しようとするいうことは、、
人それぞれ答えはちがけど、この映画で肩の荷が軽くなる。
最後の舞台での言葉、(手話なのがまた、、)
岡田将生が劇中はなった言葉、それらを胸に生き抜いていけばなんとかなるかもしれない。
きっと大切な人を亡くしたとき、わたしは必ず立ち直れなくなる予感しかしないけど、残された者は生きていくしかない。
自分の気持ちに正直に、自分とはなんなのかを、考えぬいて辛い人生をいきてゆくしかない。