このレビューはネタバレを含みます
「俺はあの時正直に傷つくべきだった」
こんなにも刺さって抜けそうにないのにもうニュアンスでしか覚えていないのが情けないけれど、このシーンで初めて、西島秀俊演じる家福に綻びが生まれて、ほっとした表情を浮かべたのが忘れられない。会いたかった自分に会えたのだろうな。
後半、静寂に狂わされた時にハッと現実に引き戻された。気づかないくらい少しずつ 静かに ゆっくりと、でも確かに、泥の中に埋まっていくような感覚から現実に引き戻されたのはこの時で、それほどまでにこの作品に飲み込まれていたのかと気づいたのは家福が己を受容したのと同じタイミングだった