eulogist2001

ドライブ・マイ・カーのeulogist2001のネタバレレビュー・内容・結末

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

大傑作。この作品を観ていた時間に感謝しかない。3時間近い作品ながら、ずっと終わらないでほしかった。シナリオがまず秀逸。丁寧で無駄がなく展開もプロットの置き方も淀みない。作中の世界観も破綻をきたすことなくそれぞれの配役がここぞというところでここいちばんの演技をみせ、そしてさらりと湿度が低めに消えていく。いわゆる単なる端役が居なかったのは驚きだ。

ベケットやチェーホフの劇も有機的、必然的に完璧に連動していた。

思えば原作の村上春樹も濱口竜介も自分自身や他者との関係性(もちろんそこには死者との関係性も含めて)や喪失と再生、孤独と共感が大きなテーマとして色濃くあり、その2人が結びつく作品であってみれば面白くないはずがない。光も闇も描きながら深い優しさに満ちている。

ラストシーンはいささか蛇足に思いながらも、やはりタイトルを意識したものなのか。あるいはハッピーエンドとして締める必要があったのか。韓国の広々としたハイウェイらしき道路を顔の傷が消えたみさきが運転するSAABに韓国人夫婦のものらしき愛犬が助手席に鎮座。幸せなその後を強く思わずにいられない。
eulogist2001

eulogist2001