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ドライブ・マイ・カーのAbeCinemaTVのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.3
また一風変わった三時間を過ごすことになるので、未見の方はまずはそのまま映画館へGO!

あ、アクサダイレクト!ってあるシーンで強く思ってしまった。また彼がいけすかないボルボに乗ってるんだわ。岡田将生さんがとにかく素晴らしかった。最初に出てきたシーンから素晴らしかった。岡田将生さん本人もこの作品を通じて演技に対する開眼があったという主旨の発言をされているのも納得である。ちなみにその場面でさ、俺だったら女性だけタクシー探して乗せて先に行かせると思う。

車好きドライブ好き旅行そこそこ好きな私からすれば、まず赤いサーブ900の時点でかなりの高得点。そしてその車の撮り方が完璧。車のカタログ昔よく集めてたけどああいう角度多いんだわ。都会だとめっちゃ浮くけど、田舎に行くとめちゃくちゃ映えるサーブ。しかし今はなきサーブ。コンバーチブルだった説があるが、断然現状がいいだろう。知らない人に自分の車運転させたくない気持ちってすごくわかる。部屋なんだよな自分の。

オープニングのシーンはちょっとひよるかもしれないが、心配ご無用。これはライド感満載のドライブムービー。ドライブしている気分に本当になる。コロナ禍でなかなかできない旅行気分を久々に味わえた。本当に車に乗っている感覚になる。運転が上手いってのがスクリーン越しに感じる奇跡。

難しいように見えて、実際教養高い芝居の話とか出てくるんだけど、最終的にはものすごくストレートにコロナ禍を生きる現代人へのメッセージをセリフを借りて伝えてくれる力強い作品。男性性がどうだ、みたいな話も本作に関して散見されるし、監督自身もお話しされているが、シンプルに人と真正面から向き合えなくなった人の話として、捉えても十分深みのある作品だと私は思いましたけどね。

バーニングみをすごく感じましたね。田舎の風景をロングショットで。バーニングでも車での移動は印象的だった。車で追いかけるシーンとかね。謎解きでもあるよね。ゆーっくりじわじわと謎を明らかにしていったりしなかったり。ヨルゴスランティモスの演出にも近い淡々とした西島秀俊さんら。だんだん彼がコリンファレルに見える。

エンディングで、あ、佐々木インマイマインだ!って思った。撮影の四宮さんってところもそうなんですが、過去の女性に縛られて、人と正面から向いあえなくなり、舞台に立てなくなった役者が、都会から田舎に行って、他の夫婦の幸せとか不幸とかに向き合うことで最終的に舞台に立つっていう流れが近いなと。

ノルウェイの森同様、ドライブマイカーもビートルズから来てるのだろうか。
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