Epi

ドライブ・マイ・カーのEpiのネタバレレビュー・内容・結末

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

今年を振り返るときに忘れられない作品、というより、ここ10年、いや、映画史に残る作品だと思う。
なにを受賞とかいうことではなく、中に込められた生と死、回転、移動、モノを作ること、悼むこと、音とセリフ、舞台と車、喪失と再生、
言葉とコミュニケーションのそれぞれが、インスパイアさせてくれて止まらない。
その上で、
不穏さが画面に満ちていて死の予感が満ちていて。観ている側を不安にさせて一瞬も飽きさせない。

第二幕たる稽古のシーン、監督の手の内を明かすとともに、実際に行われたことだという。余計な感情を入れ込まずセリフを重ねることで、本番で本当に役者の内側から立ち上がってくる感情を、言葉を大切にする、という行き方。
車の中での岡田将生演ずる高槻が喋るシーンの凄さと言ったら…。三浦透子さんがあの役を得てから運転免許を取ったとか、西島秀俊さんがずっともがいていた演劇論とか、どこまでも考えてしまう。たぶん、今後もこの作品について考える。

なにより。
悼むことが多かった今年の自分にとって、特別に、個人的な思い入れさえある作品になった。
Epi

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