このレビューはネタバレを含みます
静かなトーンの作品だけに演技力が試され、またそれをやり遂げた俳優陣に称賛します。
『ノルウェイの森』を30年以上前に読んだだけの初心者の私でも、オープニングの音の創作文が、村上春樹独特の文章表現だなぁとわかります。
そういえば、死をテーマにした小説が多いんだよなぁと、うろ覚えの知識を思い出しながら鑑賞していると、案の定いきなりの展開で、そこからはただ主人公家福の心情の如く、静かに淡々とストーリーが流れていきます。それはある意味村上春樹のスタイルにも通ずる演出なのかと思いました。
クライマックスの場面、二人それぞれの、身内の死に対する向き合い方、また身内に対する複雑な心情、残された者のつらさや悲哀さが一気に解放され、少しだけでも胸のつかえが除れ、それでもトラウマのようになってそこから逃れることはできない。
クルマをドライブするが如く、上手にコントロールしていかなくてはならない。
浅はかな私の頭ではそういうことであろうと解釈しました。