KEMTO

浜の朝日の嘘つきどもとのKEMTOのネタバレレビュー・内容・結末

浜の朝日の嘘つきどもと(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

「映画と映画館が好きな人」という絞ったペルソナに刺さる映画でありながら、同時に「都市部への人口流出で空洞化が進む地方」「新たな動画プラットフォームの台頭により衰退する映画館文化」といった社会的な文脈も盛り込まれており、織り成される人間模様に胸打たれるものだった。

高畑充希は女優だなと感じた。大久保さんもハマり役でとてもよかった。
バオくんは、8年間も日本にいながら最後まであの日本語力はちょっとマズい(この映画で唯一気になった)。

映画館を救えない、閉館エンドでも個人的にはよかった。
世の中そう甘くないのだし、浜野あさひは十分に頑張った。
とはいえ最後のどんでん返しによって多くの人は心地よい観後感を得られたかもしれないので、それはそれでよい。
それに、「どうせ最後にはなんとかなるんでしょ」と思わせない展開だったので、なんとかなっても興醒め感はなかった。

個人的に「人の話を聞かない人」「年長者への礼儀がない人」へ嫌悪感を持っているため、冒頭は高畑充希に対して共感は全くなかったが、観進める内に「こういうコミュニケーションの形もあるのか」と思わされた。
(蓋し実際にあの温度感を実践すると9割方トラブルに発展しそうだが。)
「自らの熱意が十分に強く」「熱意と行動に対する責任を取る覚悟があり」「その行動が確実に相手のためになると確信できる」場合に限っては、強引な振る舞いもまた是なのかもしれない。

感受性に乏しい自分がこれだけの感想を得られたというだけで、満点評価を捧げたい。
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