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ステージ・マザーのdm10foreverのレビュー・感想・評価

ステージ・マザー(2020年製作の映画)
4.2
【陽光】

ここんとこ、洋画の公開延期の影響もあって邦画を見る機会の方が圧倒的に多くなっていて、でもそのお陰で「元気な邦画」にもたくさん出会えることが出来たのかなと。
ある意味では「結果オーライ」な感もありますが、それでもやっぱり「洋画が観たい」っていう欲求は一定程度あって、それは「毎日美味しいお刺身定食を食べていても、やっぱりたまにはマックのハンバーガーが食べたくなる」っていう奴。

そういった意味では、この作品はジャストで心を満たしてくれるいい感じの「洋画」です。
もちろん、もっとゴリゴリにお金をつぎ込んだ超絶スペクタクルや、アカデミー賞有力候補なんていう力作も観たいですが、丁度いい感じで「肩の力が抜ける」といいますか、気負わずに優しい気持ちのまま鑑賞できる良作に出会えたと思いました。

――ある日、テキサスの田舎に住むメイベリン(ジャッキー・ウィーヴァー)のもとに息子リッキーの訃報が届く。リッキーとは分かり合えないままずっと疎遠になったっきり。
たった一人の息子を見送るため、メイベリンは彼が住んでいたサンフランシスコへと向かう。
そして、そこで彼女を待っていたのは自分が知らなかった息子の一面だった・・・。

「家族の喪失」や「知らなかった一面を辿る工程」っていうプロット自体はよくあるけど、昨年公開された「君の誕生日(韓国映画)」なんかでも、ズタボロに泣かされた記憶もあって、やっぱり弱いんですよね。
でも、不思議とこのジャケットからは悲壮感が1mmも1gも伝わってこない。
決して悲しみを表現しきれていないとかそういうことじゃなく、息子の「知らなかった一面」を知っていくことで愛しさが止まらないという優しさに満ちたジャッキー・ウィーヴァーの表情がとても印象的で、たぶん鑑賞前から作品への良い印象を作ってくれていたのかもしれない。

難解な設定ものではなく、素直に染み入る良作です。ちょっとネタばれも残します。
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