作品全体のカラーリングのセンス、そしてケンプ・パワーズの脚本が素晴らしい、
監督レジーナ・キングの繊細で柔らかいタッチがなんとも心地よい作品です。
物語はそれぞれのポジションで結果を残し、名声を手にした4人が、
後にモハメド・アリと改名するカシアス・クレイがヘビー級の世界王者達成の夜マイアミで交わす会話劇
今尚、根強く残る人種差別、
どんなに実力があり、才能が認められ、結果を残しても、
白人の家の敷居を跨ぐ事は許されない
白人対黒人だけでなく、黒人対黒人の中での差別をそれぞれの立場でこれほど本音で生々しく論争する作品は初めてかもしれない。
黒人であっても地位や名声を手に入れると人間は変わる。
何が正解で何が間違っているかの線引きなんて簡単にはできない。
マルコムX、サム・クック、カシアス・クレイ、ジム・ブラウン
影響力のある4人がマイアミの夜に交わすそれぞれのエピソードは気持ちが凄く伝わるとても良いシーンです。
もしもこの一夜が現実だったなら、
この瞬間の4人はいちばん幸せだったのかも・・・
そう思うととても切ない気持ちになる。
その後もそれぞれの人生は続き、
歴史を変える事はできないのだから・・・
マルコムとクックの激論の最中、
ボブ・ディランの『風に吹かれて』が流れる
あ〜なんて素直な歌詞なんだって改めてこの曲の素晴らしさを感じた。
サム・クックはその後
『A Change Is Gonna Come』を生み出す。
🎵〜なかなかやって来ない
しかし、変化はきっと来る、きっと〜♬
和訳を知った上でレスリー・オドム・Jrが唄うサム・クックの曲は涙なしでは見れなかった。
彼の劇中の涙は心うたれます。
そして、クレジットで流れる「Speak Now」も余韻に浸れる素晴らしい音楽です。
会話劇であるこの作品は、好き嫌いがハッキリするかも知れません。
しかしこの中で語られる黒人同士の会話は今まで知り得なかった貴重な内容だったと私は思います。