今日の試写会は『栗の森のものがたり』マスコミ試写。
第二次世界大戦後、貧困と政治的緊張により、多くの住民が故郷を去ることを余儀なくされた旧ユーゴのスロヴェニアとイタリアの国境地帯にある「栗の地」スラヴィア・ヴェネタ。
本作はその地を舞台にした現代のおとぎ話。
作品は、
「しみったれの大工 マリオ」
「最後の栗売り マルタ」
「帰らぬ息子 ジュルマーノ」
の3部構成で綴られる。
忘れられた地で、仕事もなく賭け事に興するばかりの老大工マリオ。長年連れ添った伴侶が病気で倒れると、まだ死んでもないのに棺の大きさを測り始めるような奴。ちょっとスクルージさんみたいな感じかな?
もう一人の主人公マルタは、帰らぬ夫を待つ若き女性。
この二人が「栗」のご縁で出会った時に、氷のようだったマリオの心にはある変化が訪れ…
光と影、室内の陰影を大事にした撮影は、どこを取っても絵画のよう。要所要所に入る音楽も印象的。
忘れられた地で、老人の喪失が未来へとつながる美しいアート作品だ。
*「東方の三賢人」が人の死に際に現れるのだが、この方々ってキリストの「誕生」を祝いに来た人たちだったよね? 「死」に際して現れるって、いいの?