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冷血のbennoのレビュー・感想・評価

冷血(1967年製作の映画)
3.5
まず、観る前に躊躇したのですが………

『ティファニーで朝食を』の原作者、トルーマン・カポーティの同名タイトルを映画化
彼が6年もの歳月をかけて執筆したベストセラー、ノンフィクション作品です

ディックとペリー2人の青年が、カンザス州の名士クラター家に強盗に入り、一家4人を惨殺することに
ただ彼らが手に入れたものは…たった40ドルとラジオだけ

前半はロードムーヴィーの形をとり、彼らの家族、過去、犯行計画が語られます
一切犯行シーンは映しません
同時にクラター家の日常を光や音楽(クインシー・ジョーンズ)を対比して、当時の格差社会を表現します

少し中弛みかなぁと思ったら…恐ろしいシーンの畳み掛け!
暗闇、懐中電灯の光、雨が心理的恐怖を煽ります

死刑執行の時…
立ち会いに来た記者が死刑執行人について話します
 How much does he get paid to hang him?
(彼に支払われる額は?)
- 300 dollars a man. (囚人1人300ドル)
Has he gotta name? (彼の名前は?)
- We, the people. (我々、国民)

我々は自分の死に恐怖し、他人に死を与え、それでも、格差の中での犯罪は繰り返されます
これは死刑制度に対してのアンチテーゼです

誰が一番"冷血"なのでしょうか?
精神的ダメージが大きいのであまりお勧めしません
ただ認知という意味で、興味のある方は、是非!
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