耶馬英彦

フィールズ・グッド・マンの耶馬英彦のレビュー・感想・評価

フィールズ・グッド・マン(2020年製作の映画)
3.0
 マット・フューリーという漫画家が生み出したキャラクター「カエルのぺぺ」がインターネット上で様々な使われ方(ミーム)をする話で、マットがほったらかしにしている間にぺぺがトランプ支持者、過激な白人至上主義者のキャラクターとして使われるようになってしまった。ネットだけならまだしも、流石のマットも立ち上がる。
 難しいのは、キャラクターには著作権がないということだ。マットが描いたぺぺのイラストや漫画は著作物だから当然著作権があるが、ぺぺというキャラクター自体は著作物ではないから著作権は生じない。商標登録をすれば、有効期限は権利を守ることができる。
 ぺぺは香港の民主化運動の象徴としても使われているらしい。マットはそちらは特に反対しない。極右に使われるのは嫌だが民主化運動ならいいというのは、バランス感覚としては至極まともである。
 アベシンゾウやガースーやヘイトのキャンペーンにドラえもんや鬼滅の刃が使われてしまうことを考えれば、キャラクターを守るための何らかの規範が必要だと思うが、知的財産権というアメリカ由来の考え方が種子にまで至って世界の農家を苦しめている現状を顧みれば、規範が諸刃の剣になりうることも含めて、難しい問題だと改めて思った。
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