2006年 スペイン 監督: アグスティン・ディアス・ヤネス 2022.10.13視聴-462
評価3.5
● ヴィゴ・モーテンセン(ディエゴ)
● ウナクス・ウガルデ(イニゴ)
● アリアドナ・ヒル(マリア)
● エレナ・アナヤ(アンヘリカ)
国が小さくなるということは、多くの犠牲者が出るということを考えもしなかった。
「太陽が沈まない国」と言われた17世紀の大国スペインは、無敵艦隊の壊滅を機にオランダは独立、フランス、イギリスの台頭に衰退する。この衰退にどれだけの犠牲者が出たのだろう。
この映画、この衰退期のスペインが舞台。
制作時、制作費はスペイン映画史上最高額という大作だ。
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17世紀スペイン、孤高の剣士ディエゴ・アラトリステ・イ・テノーリオの物語。
アラトリステの後半生21年間を描いている。
長い小説をエピソードを重ねることで145分にうまくまとめられている。(小説は勿論読んでないけど、そんな描き方だ)
ディエゴのオランダ反乱軍への夜襲、オランダが占拠する町ブレダの包囲戦への参加、ネーデルラント国境の町ロクロワの郊外でフランス軍と戦いなど21年間の歴戦をストーリーの中心にすえて、ディエゴと既婚者の女優マリアとの恋、ディエゴが面倒をみている亡き戦友の子イニゴと王妃付女官アンヘリカと恋の行方を絡めながら描く。
スペイン映画はあまり観たことないのに、主人公を演じるヴィゴはよく見かける俳優だがと不思議に思いながら観た。
後で調べると彼はアメリカの俳優にもかかわらず、全編スペイン語で演じたとのこと。これはすごいとしか言いようがない。
しかも、監督が彼を抜擢した事がこの映画を、成功させている。汚れた裏仕事もこなすこのヒーローにヴィゴがピッタリハマっているからだ。
戦闘シーンや斬り合いのシーンはこれまで観たことのない描き方で、すごく新鮮で迫力がある。しかも殺し方が残酷。トドメは繰り返し刺すか喉を切っている。文化はこんなところにも出るものなのか。
ただ残念なのは、最後のフランスとの戦いがピンとこないこと。槍衾の下を潜って刀で切るシーンが不自然なのだ。一番盛り上がらなければならないシーンなのにここは残念だった。
のんchanさんのレビューを読んでなければ、217のレビューしかない本作は観てないだろう。たぶん。
感謝、感謝。