コブヘイ

デストラップ/狼狩りのコブヘイのレビュー・感想・評価

デストラップ/狼狩り(2020年製作の映画)
5.0
B級サバイバルアクションかと思ったら、凝った脚本と絶妙なカメラワークが静かに恐怖を演出する、最後に爆発するサバイバルホラー!

ハンター×オオカミ×シリアルキラー!という設定を聞いて興味を持っていたら近所のイオンシネマで公開されたので鑑賞。凄い映画でしたよ。

開幕は父親が娘に追跡方法を教えながらの狩猟風景。糞で動物の種類を見分けたり、オオカミを追う時には犬を連れて行かないとか「ゴールデンカムイ」にも通じる本格的な描写が良い。
一方で母親が取った毛皮を売りに街に降りるものの値が下がっていて生活は苦しい状況で、街に戻る生活を考えてしまったり。
更には森にオオカミの痕跡が見つかり(家族を殺されたかのように異様に警戒するのがまたリアル)、父親がオオカミを狩るべく追跡する中で数体の死体を発見する。現場の状況から犯人は近くにいると直感する父親。 極寒の森の中、オオカミと殺人鬼に襲われる一家の運命は如何に、なお話。

まずは絶妙なカメラワーク。
ホラー心をくすぐってくるように、アップの絵でもちょっとしたカメラの動きでピントがあっていない個所に意識させるテクニックが随所で炸裂。残酷なシーンは出来るだけ見せない演出も相まって実にサスペンスフル。

そして巧みかつ斬新なストーリー。 オオカミと死体を見つけた時点で、これは父親が負傷して娘さんがトラップとサバイバル知識を利用して戦う展開になり、オオカミと殺人鬼をぶつけ合わせて決着。母親が希望していた街での新たな生活を送るエンディングで決まった!!
と予想してワクワクしていると中盤からは父親どころかオオカミも殺人鬼もなかな出てこない。
心配する母が森林警備隊みたいなところに相談しにいくも規則で動けないというどうにも役に立たない。
そんな流れで犠牲者の一人だろうと思っていた警備隊の一人が放置されている車に注目する(前日に気付くも一旦スルーしている描写があってイイ!)。
なるほどここで警備隊の人が父親を見つけて協力する流れか?と予想していると話が急激に動き出す。
ひどい方向に。
観客から見て明らかにダウトな遭難者が現れて助ける母親。足の傷跡を観て何か思う娘さんが気づいてくれないかとハラハラしていると、残念ながらの予想通り最悪の展開。

ホラー的には正しいファイナルガールな展開として本作は大爆発。それはさながら「ランボーラストブラッド」のごとく。
頂点に達したキャラクターの怒りを表現するかのように激痛残酷復讐劇が展開。こんなところにも「ゴールデンカムイ」要素が!
怒りをぶつけた後、放心するキャラクターと共に終了するすっきりしそうでしない鈍い切れ味のバッドエンドでこちらも放心する事間違いなし。

ロッテントマトメーター94%のフレッシュさは伊達じゃない!
シチュエーションを巧みに盛った、観た事あるようで観たことの無い、オリジナリティあふれるサバイバルホラーでした!

繰り返しますがサバイバルアクションではないのとゴア描写が苦手な人は注意だ! (『SAW』が見れる人なら大丈夫)
コブヘイ

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