こなつ

世界で一番しあわせな食堂のこなつのレビュー・感想・評価

世界で一番しあわせな食堂(2019年製作の映画)
4.0
タイトル通りの温かな素敵な作品だった。
「美味しい料理は人を幸せにする」本当にそうだということを食いしん坊の私は誰よりも知っている。
フォロワーさんのレビューを読んでずっと観たいと思っていた作品。
フィンランドの田舎町の雰囲気も、そこで生活する素朴な人々の優しさも、プロの料理人が作る数々の美味しそうなお料理も、どれも惹かれる。

毎年「世界幸福度ランキング」1位の国に輝くフィンランドを舞台に、料理を通して繰り広げられる異文化の人々の交流。緑豊かな大自然と広大な湖を満喫し、自由でのんびりした北欧の小さな町の物語は、心が温まりとても心地良いものだった。

フィンランド北部の小さな村「ポホヤンヨキ」でシルカ(アンナ=マイヤ・トゥオッコ)という女性がひとりで食堂を営んでいる。そこへ上海から一流料理人のチェン(チュー・パック・ホング)と息子ニュニョ(ルーカス・スアン)がやって来た。恩人を探していると言うが、知る人は誰もいない。シルカが恩人探しに協力する代わりに、チェンに食堂を手伝ってもらうことになる。チェンが作る料理は評判となり、食堂は大盛況。次第にシルカや常連客と親しくなっていくチェンだったが、観光ビザが期限切れになり、帰国する日が近づいてきた。

チェンを演じるチュー・パック・ホングが「私のプリンス・エドワード」のエドワードと同じ役者さんとは思えないほど、スマートでキリッとしている一流の中国人シェフを好演。同じ時期に撮影したと思うが体型まで違う様に見えるから、俳優さんは凄い。草原で舞う太極拳が美しかった。

「ポホヤンヨキ」とは何とおかしな町名かと思ったら架空の町とのこと。ラップランド地方のリゾート地レヴゥから車で30分のホテルもない田舎町の設定。実際に多くの中国観光客が訪れているというレヴゥ。それでも見渡す限り広がる雄大な自然にはため息が出るし、透き通った湖面、トナカイの住む森、終わりのない白夜、独特なサウナなど、この国が「幸せの国」の代表なのだと見せ付けられる。

チェンが作る美味しそうな中華料理。初めは戸惑い、コミュニケーションも上手くいかなかった地元の人々が、チェンが作る薬膳スープが体調不良を改善し、健康的な体を作ってくれることを知り、どんどん心が繋がっていく。

生粋のフィンランド男子、どこかしら身体に病気を抱えているのだが、何と愛すべきチャーミングな老人達だろう。
シルカを演じたアンナ=マイヤ・トゥオッコも自然体の演技が素敵だった。

二胡とアコーディオンの演奏、チェンの歌う中国の有名な曲、ダンスシーンのタンゴ、、、雄大な自然とともにフィンランドという国の雰囲気にも酔いしれた。
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