kito

キャラクターのkitoのレビュー・感想・評価

キャラクター(2021年製作の映画)
3.7
邦画のサスペンス・ホラーとしては久しぶりに面白かった。

この手の犯罪ものは、どうしてそうなるという感じで登場人物たちはおバカ行動ばかりするし、警察は24時間無能っぷりを曝け出すし、アクションも何だか安っぽいし、ストーリーはこれでもかというほどご都合主義な予定調和にあふれ、それはもう濃ゆく漂う”2時間サスペンス感”を拭えないことが多い。

本作も菅田将暉演じる漫画家の主人公が早々に住居侵入やら警察に対して大きな嘘をつくやら、ああ、やっぱりいつものパターンなんだとガッカリ。ところが、案の定、窮地に追い詰められた主人公が早々に小栗旬演じる刑事に真実を話し、謝罪する。しかも、何としても売れたい漫画家として起死回生の鍵を掴んだ気がしてつい嘘をついてしまった、と案外なるほどな心情を語る。

以降、全編ご都合主義的な展開が少なめなのは、映画のためのオリジナル・ストーリーとしてよく出来てるなあと感じ、最後まで楽しめた。主人公のタワマンの豪華な自宅や対照的に不気味な犯人宅など、至る所に手間暇とコストがかかっている感じも良かった。

終盤、主人公が愛する人を助けに行こうという際、刑事に頼まずタクシーで駆けつけ、ちゃんと警察がタクシーより遅れて到着するという”万国共通の謎現象”が起こるけれど、これはもうクライマックスに向けた必須要件なので致し方ないだろう。

邦画では洋画以上にどうしても俳優に既存のイメージが被ってしまい、マイナスに感じるのだけれど、本作ではあまりそれを意識せずに観られた。菅田将暉と犯人役のFukaseをはじめ演者がそれぞれみな役に上手くハマっていたんだと思う。

エンドロールも必見。
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