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ジョゼと虎と魚たちのbluetokyoのレビュー・感想・評価

ジョゼと虎と魚たち(2020年製作の映画)
4.2
ああ、そういえばそうだった、と懐かしく日本版を見たときことを思い出した。ただ、日本版はいい出来ではなかった。有名俳優を使ったためなのかバラバラな感じでまとまりがない。とくに、ジョゼのばさん役が妙に張り切ってすべてがぶち壊しになった。だが、江口のりこ、板尾創路、とくに江口のりこがものすごくよかったから救われた。もう、江口のりこしか覚えていないぐらいだ。
実写版としては二作目、ということは、前作のダメだったところを、当然修正してくるはずだ。アドバンテージがあるわけである。
今回のジョゼは、期待に違わずである。ばあさんは、台詞がほとんどなかったし、全体的に、抑えられていた。テーマがテーマだけに当然ではある。
ヨンソクくんが水族館にジョゼを連れていくのだが、そのとき、ジョゼが、もう、これからは、大丈夫、みたいなことを切り出す。ヨンソクくんはそれを聞いて、号泣するシーンは、本当に悲しい。
いまどきのチャラい(とまでは言えないのかもしれないけど)男子大学生、ヨンソクくんが、社会の最底辺、貧困にあえいでいて、しかも、重い身体障碍者であるジョゼを受け入れることは出来ないのである。どんなに彼女が好きでもそれはできない。こんな別離があるとは、と戸惑ってしまうがそれが現実なのだ。
途中、ジョゼとヨンソクくんがスコットランドに行くシーンがあるが、ただの妄想である。もし、ヨンソクくんが大金持ちなら可能であるが、まあ、現実的には無理なのだ。最後は、案外、しぶとく、ジョゼは生活しているシーンで終わってくれる。この映画では車に乗っているのだ。でも、ヨンソクくんの、こうなっていたらいいという幻想だったら悲しいな。
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