mさん

Mr.ノーバディのmさんのネタバレレビュー・内容・結末

Mr.ノーバディ(2021年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

カット編集が気持ち良くて手本にしたい。
短く余計なものは入れずの精神で映画を作るとこうなるんだろう。90分映画なのにアクションが2時間映画レベルである。それは1分で男は日々のルーティンにイラついてる普通の生活を送る人だって状況を素早いカットで見せたりするからだと思う。冒頭のちゃんと自分と相手が痛がる演出は新鮮だったカット割りも早いしテンポもいいから、てっきりスタイリッシュなバトルになると思ったら、驚くほどに泥臭い。それが新鮮で面白かったし、不死身な感じにプラスして人間らしく思えてよかった。(ターミネーターとかは無表情で何のダメージも受けてない顔をして、それだとマシーンじゃん当たり前だってなっちゃうけどこっちはちゃんと痛がって、なのに立ち上がっていくから凄いと思っちゃう)


後半どんどんアクションの質が変わってラストはテンポの良いガンアクションが展開されてた。最初のバスでの戦闘は泥臭い。これはやっぱり暴力は良くないよ、正義の仕方なく振るよ。でも暴力は痛くて辛いものなんだよっていう彼自身が被っている猫の状態を投影してる。でもドンドンスカッとしたい。正義も何もかも関係ない彼の化けの皮が出てきてラストアクションはものすごいスタイリッシュ。かつ視覚的に見て楽しいアクションんになってた。彼の化けの皮が剥がれた感覚が戦闘にも現れててその演出方法は面白かった。

車が横転してそこから主役が出てくる様子を一連で見せてるカットがすごく好きだった。1枚1枚絵のようにバリバリに画角を決めてとってるCMや MVのような撮影方法だった。

暴力最高!スカッとする!っていう言葉を何度も後半口に出す。そこから、逆説的に暴力はダメだよと感じさせる。ただ主人公がこちらにそう言うことを想起させるだけの要素になっちゃっててその人の人生はその後どうなるんだろうとかの部分というか人間らしさがもっと欲しかった。暴力を振ってスカッとしておしまいじゃなくて、なにか暴力はいけないかもしれないってまた心から彼自身が思えるような展開が欲しかった気がする。
mさん

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