私が映画館に行く動機の一つに(泣く)というのがある。暗がりの中でウルウルと涙を流すと、己の薄汚れた心を洗い流してくれるような気がするからだ。
そんな時に、ドキュメンタリーベースの映画はうってつけだ。
この映画もタイトルだけ見て、そんな不純な期待を抱きながら劇場へ吸い込まれた。
でもそんな単純な映画ではなかった。とても親切で優しい医者が他人のために奔走する、そこでいろんなドラマが起こり、それを愛の力で乗り越えていく、というようなストーリーを想像していた。
ストーリーだけを追っていくとだいたいそんな感じで間違いではないのだが、安先生の在日韓国人という生い立ち、そんな環境の中で自分の地位を確立させるために社会的地位を求める父親との距離感。宙ぶらりんの自分を感じている時期に出会った一冊の本がきっかけで精神科医の道へ進む…
もちろんジワっと涙が出るところもあったけど、それ以上に人の心に寄り添うと言うことの大変さ
それができる人の尊さを感じられる良い映画でした。