おざわさん

モーリタニアン 黒塗りの記録のおざわさんのレビュー・感想・評価

4.0
2001年の同時多発テロから2か月後にモーリタニアで拘束された男スラヒが、そのままアルカイダの「証人」として身に覚えのない容疑を掛けられます。その後転々としたのち、キューバのグァンタナモ収容所で拘束され続けたスラヒの弁護をアメリカの人権派弁護士ナンシーが引き受けて、アメリカ合衆国とジョージ・W・ブッシュ大統領を訴えるという裁判を起こした、事実に基づいたストーリー。

つまりはほぼ事実なのに映画のカテゴリーとしては「スリラー」となり、内容としても下手なフィクションよりも恐ろしく、ホラーと言いたいぐらい。

ナンシーとスラヒは2010年に勝訴判決を受け、これで国に帰れると喜んだもののアメリカとオバマ大統領は控訴を続け、結局彼が釈放されたのは2016年だったなんて、これこそホラー!


裁判の中で「アラーの教えでは自由と許しは同じ意味だから、私は誰も責めずに許す」と言ったスラヒと、今だに彼に何の謝罪もしていないアメリカという国。
どちらが「自由」なんだろうか?と考えさせられました。