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モーリタニアン 黒塗りの記録のchihoのレビュー・感想・評価

5.0
ドクターハウス漬けから解放されて久しぶりに観た映画だったからか謎だが、すごい映画だった。
ジョディ・フォスターはもう、言わずもがな素晴らしい俳優なのだが、それにしても、だよ。すごいよ、この映画。カンバーバッチも最初はなんで?と思ったけど、やっぱりカンバーバッチじゃなきゃはまらない役だった。何がすごいかっていうと、それが色んな意味でなんだけど、今まではこんな内容の映画があっても、それは「あくまで」映画の話であったのに、これはそうじゃない。ただの事実だっていうことがどれほど恐ろしいか。この映画を観て何の恐怖も危機感も抱かないような人が多い世の中だから、むしろこんな映画が公開されてしまうのだろう。あんなボ◯老◯が大統領になって平気でいるような国になってしまったのだ。むしろ化けの皮が剥がれたのかもだけど、そんなふうになってしまったらもう、それは乙事主様の成れの果てと同じ事なのではないかと思う。今の時代どれほど感情が目を曇らせるかということもわかるシーンが多々ある。こんな波乱の渦中にも関わらず、理性を失わず客観視に徹するナンシーとステュワートに私はただただ感銘を受ける。ヨブかよ、と。それはモハメドゥにも当てはまる。彼もまたヨブなのだ。そんなヨブが「次は誰を訴える?神か?」と言ったセリフは重い。ヨブなんてほんとはいない。あんなのでたらめだと思う。でもいたのかもしれない、とも思う。こういう人がいると知ると、ついそう思う。ナンシーが、ちょっと話が逆流するけど、新聞に初めて事件について載せたところで、自分がしていることは、自分を守るためだみたいなことを言っていたが、これに気づいている人が本当にいない。日本は特に。また繰り返しの地点に行こうとしてる。もう来てるのかもだけど。
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