エリック•ロメールの初期作。
原作はエドガー•アラン•ポーのベレニス。ロメール自身が脚本・監督・主演を務めた約22分の短編映画で、撮影はジャック・リヴェットが担当、舞台はアンドレ・バザンの家で行われたらしい(既に座組が凄い)
男の屈折した性的倒錯がナレーションを通して描かれている。とりわけ歯に対する男の執着が異常で、何故歯に取り憑かれているのかと言えば、歯とは美の象徴でありながら噛み砕く暴力性も内包しており、人体の中で死後もなお残る「死と存在の痕跡」を現している。
この時のロメールはボードレールやジャンコクトーの影響が強かった様にみえる、特に死に対する崇高な感覚は、後に撮る軽妙な会話劇と全く一致せず、初期作がここまで屈折した耽美主義的なテーマを題材に撮ってるのは意外で面白かった(この映画は別に面白くない)