名作風。
作品の見せ場になるシーンの映像は、とても綺麗。
ストーリーの盛り上げも、拙いながらも、しっかりあるため、終わりよければ全てよしって感じで何故か名作風に見える。
しかし、肝心の主人公と竜の関係性など、主人公の過去に依存した描かれ方がしているにも関わらず、現実とUの世界のシーンが意外とリンクして描かれないため分かりにくい。
ストーリーでは、竜と昔の鈴が重ね合わされ、現在の鈴と幼馴染の少年がリンクしているが、何故かそれが直接わかる演出が無いのが理由だろう。
その代わり、無駄なUの説明は意外と長い。
また、物語にテーマ性が描き切れないほど詰め込まれており、それがメインを曇らせる。恋愛、虐待、自信などテーマが有るが、大衆の批判者の描かれ方の薄さが気になる。
また、作品の中に、「半分に批判されてる」「気にするな」やラストの子供に対する対応など、細田守の前作の世間的な批判に対する心理状態が見て取れて面白かった。
メガネの友人は完全に世間に対して批判的な細田守の本心だと感じた。
だからこそ、大衆の描き方が、単一的になりやすく、ラストのライブシーンの顔アップ繋ぎは露骨すぎて笑った。
良かったところは、恋愛描写のうまさ、途中のゲーム演出は万策尽きた上での誰も望まないクソ演出だと思うが、ワンカットはセンスを感じた。
もし、次回作があるのなら、数人の高校生の恋愛を描いた作品が見てみたい。
