虚構はもう一つの現実かもしれないが、やはり現実がどこまでもリアルに人の心を動かしていく。
細田守が描く友情と恋愛と家族の絆の物語第○段というくらいに同じテーマながらいつも魅せ方が違うなあと感心してしまう。
ただ、その感心が感動を超えなかったのはもう期待しすぎなのだろうか。
美しく広がる虚構の世界と対比するかのように現実の世界を汚くするのかと思えば、細田作品はそんなことはなく。
むしろ、現実にある世界の美しさのほうがより如実になる舞台設定を作っている。
そこにはやはり虚構を超える感動を現実に見れることのリアルさを大袈裟にではなく描いていてくれていたと思う。
集大成のように今まで作ってきた作品の要素を集合させて作り上げたキャンパスは広大で遥か深くまで潜っていけるような可能性はありながらも、非常に消化不良に思えてしまって、途中からうーんとなってしまった。
映画は途中でうーんとはなりたくないよなあ。頭を1つにして入り込んで行きたい。
家族との軋轢、過去のトラウマ、リアルな人間模様の不器用さ、ネットへの救い。それだけでも結構お腹いっぱいなのに、美女と野獣なミュージカル要素に、ネットの闇からの仲間との大円団。
綺麗に包み込むには風呂敷が狭すぎた。
観てるほうからして凄いこれを描きたいんだよね、わかる、わかるよー!!となっているところに横向いたらえ、お前もなん?
お?!君もか?!?!って沢山気にしないといけないことが多く、それが綺麗に纏まっているようでただぎゅってしただけのように思えてしまったから最後で冷めてしまった。
願わくば。
家族との和解にだけ絞って欲しかった。