Sari

アポロンの地獄のSariのネタバレレビュー・内容・結末

アポロンの地獄(1967年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

2021/06/25 WOWOWプラス(録画)

古代ギリシャ三代悲劇詩人ソポクレスが紀元前427年頃に書いた「オイディプス王」の戯曲の映画化作品。
‘’母と交わり父を殺す‘’という神託を得た予言を恐れた青年が、故郷を捨て、荒野をさまよううちライオス王と出会い…という有名な物語。

『ソドムの市』があまりに強烈だったため、同じパゾリーニの作品ではあるものの、気持ちの切り替えが不十分なまま、流すように観たが先ずは音楽が素晴らしい。『奇跡の丘』を彷彿とさせる荒野で、聴こえてくるのは尺八のような笛の音。後に調べると神楽が使用されているとは。
そして古代ギリシャの街の再現も、衣装も何とシンプルなのだろう。こういう歴史物は製作予算の関係もあると思うが、スペクタクルな映像化で派手な作品が多い中で、今観ても古臭くなく現代的に思える。どのシーンも素晴らしい映像美。青年の黒いワンピース衣装、シルヴァーナ・マンガーノの『テオレマ』でもお馴染みの眉なしメイク、青いドレスも妖艶で美しい。
アリダ・ヴァリも短い出演だが、いつもながら凄いインパクト。

現代→古代ギリシャ→現代へと、時空の入れ変わり方も斬新。最後も現代に飛び、寺山修司の『田園に死す』のラストを思い出させるラストまで驚愕。
寺山修司もパゾリーニも元々詩人(寺山修司のマザーコンプレックス、父親のDVのため母親への愛が尋常ではなかったパゾリーニ)であったりと共通点が見える上、本作の主人公にはパゾリーニ自身を投影したとか。
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