紫亭京太郎

アウシュヴィッツ・レポートの紫亭京太郎のレビュー・感想・評価

3.5
アウシュヴィッツからの命を賭けた脱出劇も、ナチスによるユダヤ人殺戮を止めることができなかった悲劇が心ズシンと響く。大戦後に、欧米社会が受けたホロコーストの事実に対する衝撃は、いかばかりだっただろう。
今のように情報収集の手段が無く、視察団が派遣されたとて、視察の間のみ取り繕えば国際的には「問題無し」と判断されてしまう。国家が残虐非道な振る舞いを行っていても、確固たる客観的証拠を揃えて突きつけ、追い込むことができない限り、北朝鮮はおろか、中国におけるウイグル族や上海一般市民への弾圧を止めることはできないことを、改めて思い知らされた。
12万人のハンガリー系ユダヤ人の命は救われたということだけが、せめてもの成果。
紫亭京太郎

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