お隣さんはヒトラー？のがぶ君のネタバレレビュー・内容・結末

　ヒトラー南米逃亡説。ナチスの都市伝説の中でも特に有名なものから着想を得た作品。
　映画の途中でヒトラー関するエピソードや知識を紹介してくれるので、ヒトラーに詳しくない人でも安心して観ることができる。
　壁を隔てた隣人と仲良くなっていく王道な作品。お互いの事情により拗れた性格をしている2人が、不器用ながらも仲良くなっていく様が微笑ましい。
　壁が重要な意味を持つ今年公開の映画「関心領域」あの映画の壁は拒絶の意味が強かったが、本作の壁（正確には柵）は心の壁のように感じた。序盤のボルスキーのように少しの情報から相手を断定し、悪魔化するだけでは関係が悪化するだけである。その先に待ち受けるのは悲劇だけだ。映画内でもヘルツォークの飼い犬が死んでしまう。そうではなく、他者を知り歩み寄りことでしか共存はできない。衝突しつつもお互いの痛みを知り真の友になれた2人のように。
　劇中の中にもイスラエルが出てくるが、図らずも今のイスラエルを皮肉るような内容になっている。