しん

スーパーノヴァのしんのレビュー・感想・評価

スーパーノヴァ(2020年製作の映画)
3.9
温かい涙が頬を流れる秀作です。作品の中では、時間がとてもゆったり過ぎていき、眠くなってしまう時もあります。しかし、その時間こそが二人にとってはかけがえのない宝物であり、彼らが見ている星一つ一つが、二人の脳裏には焼き付いて離れないものなのでしょう。

「同性愛」や「認知症」など現代的なトピックが強調されて宣伝されていますが、これが異性愛だったとしても作品がつまらなくなることは決してないと思います。それほどに作品として秀逸で、彼らが生きていた時間を感じられたことに感謝したくなりました。

ストーリーもさることながら、コリン・ファースとスタンリー・トゥッチの好演も光りました。大きなリアクションを使わずに、二人が何を考えているのか、どう振る舞いたいのか、何に悩んでいるのかが的確に伝わる演技をしています。特にラストに近づく辺りからは圧巻で、背中だけで何を言いたいのか(何を言えないのか)が伝わります。

静かな作品ですし、退屈と思う方もいるかもしれませんが、こういった作品に触れると映画の良さを再確認できます。
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