いやー、これはおすすめです!
とっても静かな作品ですが、全世界共通で感じられる・考えさせられる作品です。
年老いたゲイカップルのサムとタスカー。
タスカーは認知症を端に発し、不治の病に冒されていた。
最期まで面倒を見て添い遂げたいサムと、きれいな思い出のまま別れてひとりで死に行きたいタスカーはすれ違うが…。
主演のふたりをスタンリートゥッチとコリンファースが演じてるってだけでもう間違いないですよね。
今作を観て、やっとこういう時代が来たなぁと思ったのが、この作品は別にLGBTQをメインテーマにしてる訳ではないところ。
「パートナーと老いと人生の幕引き」という誰しもが直面するテーマに対して、登場人物の性を絡めに行っていないんです。
ふたりがゲイ故にという展開やセリフなどはほぼありません。
これまで色んな作品を観てきて、「LGBTQです!」と切り出して描いたり殊更強調したりするのってそれはそれで線引きしてるのでは?という気持ちがありました。
なので個人的には本作のような描き方の作品が増えていくと良いなと思っていたりします。
主人公ふたりの会話がそれだけでふたりが積み重ねてきた時間の長さや密度を表しているようで、聴いているだけで心地良いです。
このふたりの事を考えるとすっごく切ないんですが、後味が嫌な切なさではありません。
彼らの周囲の人々が温かく、こうありたいと思える人間や人間模様が描かれているからだと思います。
本作に息づくふたりを観て、自分の行く末を真剣に考えなかった人はいないでしょう。
ちなみにタスカーの最後は観客に委ねていますが、個人的にはサムがタスカーの意思を尊重したのでは?と思いました。
根拠はなく直感です。
皆さんはどう思われましたか?