さりさり

スーパーノヴァのさりさりのレビュー・感想・評価

スーパーノヴァ(2020年製作の映画)
4.2
愛し合うふたり。
旅をするふたり。
美しい景色。
優しい時間。

流れてくる景色を観るだけで、涙が出た。
秋。
木々が色づき、深味を増した景色は、人生の終盤を迎えようとしているふたりに繋がるように感じた。
ふたりの繊細な表情や、多くを語らない物語に、心を打たれた。

作家の彼と、音楽家の彼。
芸術派のふたりがお互いに惹かれ合うことに、性別はもはや関係ない。
これは人間愛なんだろう。

病に蝕まれていくひとり。
愛する人や大切な友人たち、そして自らのことも忘れてしまう哀しい病だ。
それぞれが葛藤しながら見つけ出した答えに泣ける。

恐らく、身近に同じような病を抱えた家族を持った人には響くだろう。
そしてもし、自らがこのような病に侵されてしまったとしたら…そんなことが頭をめぐり、色々なことを考えさせられた。

「失うのが悲しいなら
それは良きものだったのさ」

さりげない彼の言葉が胸に響く。
失う前に気づけたこと。
失ってから気づくこと。
この違いは大きいなって思った。

満天の星空が忘れられない。
このふたりは、それぞれどんな思いで星空を見上げたんだろう。
その思いはきっと、ふたりにしかわからないんだろうなって思った。
さりさり

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