Habby中野

三姉妹のHabby中野のネタバレレビュー・内容・結末

三姉妹(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

謎解きミステリーのようなやり方で登場人物の顔を明かし、事件の真相かのように状況を紡いでいく。いまや凡庸にさえ感じてしまう社会の姿のようでいて、やはりここに並んだあらゆるものが歪んでいることを指差している。
花屋の細く暗い通路から、空虚なリビングから、低いテーブルの位置から、それぞれの歪みを捉えてきたカメラは最終盤、父を見る三姉妹ー三姉妹に見られる父親、と順にその立ち位置を変える。そして最後には誰でもない、このカメラそのものとして自責に苛まれる父親を見つめる。
この意志が生まれる瞬間、映画がただ画面であることを止め、やっぱり我々が傍観者ではいられなくなる瞬間。
そしてそのカメラは彼女たち自身の手に渡り、時間を刻むこととその立ち位置を示すことを自覚しながら、パシャっと爽やかなセルフィー。
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