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ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイのcookieのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

テレビの番組表で「映像の世紀バタフライエフェクト」の「奇妙な果実 怒りと悲しみのバトン」の回の番組説明が気になり、「奇妙な果実」という曲の歌詞を調べてみて、その意味に愕然とする。
番組を観た翌日に本作を鑑賞。

ビリー・ホリデイ役の貫禄のある体当たり演技が、実は俳優デビューだと後に知ってびっくり!
流石に歌手、「奇妙な果実」の歌唱シーンは凄みが半端ない。この曲を歌うだけで、ビリーが身を削るように大変なエネルギーを消耗しているのが伝わってくる。

愛されたことがなく、愛し方も知らなかったビリーが、漸く本気で愛してくれる人に出逢えても、彼だけでなく大切な仲間たちさえも同時に裏切り、あの歌を歌う勇気のある強い女性でも結局は仕事にコネのある悪い男になびいてしまい、ドラッグからも抜け出せない弱さが、人生を転落させていく。
ただ、ドラッグに頼るしかないほど精神が脅かされていたのは確か。

ドラッグや異性関係で人種問題が霞んでしまっているのが勿体ない。残念。
ビリーの生涯を、差別主義の権力者との対立と絡めて描いてはいるものの、「黒人差別」を軸にしたテレビ番組の方が心に響くものがあった。

ちなみに番組では、漸く見つけたレコード制作協力者、人種不問で客を平等に扱ったミュージックホールの経営者といったユダヤ人たちの存在も紹介。ボブ・ディランの曲「エメット・ティルの死」や、2022年3月(あまりにも遅すぎ!)の反リンチ法成立でバイデン氏が署名する様子も伝えていた。
(本作制作時は未成立)

「ティル」も観てみたい。
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