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異邦人 デジタル復元版のKKMXのレビュー・感想・評価

異邦人 デジタル復元版(1967年製作の映画)
4.0
 愛しのアンナ・カリーナがヒロインとのことで、当然のように鑑賞しました!
 いや〜、相変わらずアンナ超可愛い💕明るくて優しい性格ながら時に不安に苛まれるヒロインを超絶ステキに演じておりました。

 まずね〜アンナの水着シーンが多くてイイ!スレンダー長身だからすごく綺麗なんですが、何しろ表情が世界一チャーミングだから、お高くなくて親しみやすいんですよね!マジ最高!🌹
 クソ人間ゴダールと別れてよかったねアンナ!

 マストロヤンニ演じる主人公ムルソーとベッドシーンもあり、わずかにリーポロシーンまでございましたが、もはやアンナレベルまでいくと、何をしても尊いので、すべてイイ!エロいからいいとかの次元を超越してます。ホント可愛いわ〜💕
 繰り返しますが、ウザ野郎ゴダールと別れてよかったねアンナ!

 アンナはムルソーをずっと愛し続けて支え続けます。一途な感じが超いじらしい!ヒロインの性格も良かったので、ずっとガンバって生きてきたアンナにピッタリで最高だった!イタリア語ガンバったのも超良かった!🎉
 三度繰り返しますが、ゲロ男ゴダールと別れてよかったねアンナ!

 強いて言えば、髪フェチ的観点で少し違和感が。序盤のシーンと、その次以降のシーンでアンナの髪の長さがわずかに違うような…6-7cm髪切った?長い方が好みで、しかも『女は女である』期のくしゅくしゅロング(最強)だったから残念。しかし、気のせいかもしれないのでなんとも言えない。どちらにしろ最強に可愛いからイイんですけどね!💕

 あ〜アンナ可愛いかった💕


 …で感想文終えても良いのですが、一応本編もそれなりに観たので、感想をしたためておきます。


 主人公ムルソーは、情緒的な絆をしっかりと実感できないタイプのように感じました。どのような背景があるのかは想像するしかないですが(過去は野心家だった・パリを嫌う等の言動から、なんらかの傷つきが背後にありそう)、とりあえず関係性の中でスムーズに生きるのが難しい人なのだろうなぁとの印象です。
 ムルソーは基本受け身でその瞬間瞬間を生きてい るのですが、情緒的なつながりを感じられないムルソーにとってはそれが最善の適応スタイルのように見えました。実感ないながらもムルソーは結構頑張っているんですよね。他者からの誘いには基本イエスですし、恋人アンナにも愛を感じられないものの「君が求めるならば」とムルソーなりに応えようとしてましたし。
 なので、ムルソーって情緒が遠すぎてヘンだけどいい奴なんですよ。犬のおじさんとか、ムルソーに近い人は皆彼に好意的でしたから。


 俺はムルソーという異邦人への関心より、ムルソーを排除し粛清しようとする世間というか彼から遠い他者に関心を持ちました。

 本作後半では、ムルソーは理解できない存在として彼らに差別され、私刑を受けることが描かれています。

 情緒的な世界を生きる人にとってムルソーは理解できない存在です。多くの人にとって、肉親が亡くなれば悲しみ、殺人を犯せば罪悪感に苛まれるのが普通でしょう。つまり、ムルソーは感情を理解しない不気味な存在として見られてしまった。彼を攻撃する人たちにとって彼は『マジョリティの普通』が通じない怪物なのです。
 本作でムルソーから距離の遠い人たちは、マジョリティの普通を生きていないムルソーを異分子として攻撃し、粛清しようとします。検察官や陪審員の態度は、ネット炎上案件に乗じて悪かったとされる人を執拗に叩く愚かな正義マンと同じです。自分と異なる者を理解しようとせず自分の正義を押し付けて、攻撃という快感に酔っているだけなのです。

 ムルソーが裁判で攻撃されて否定される後半は、本当にいたたまれなかった。彼が殺人を犯したのは間違いないし、それは償う必要があります。しかし、裁判では殺人罪ではなく、ムルソーが母親の死の翌日に恋人と遊んでいたことや、無神論者であることを責められていました。彼が裁かれたのは罪ではなく、彼の人格です。公的な裁判ではありますが、内容はまごうことなきリンチでした。
 この誰もが有している邪悪な特性である差別感情と、それによってもたらされる私刑が本作ではやや戯画的なくらいに凶々しく描かれており、自分としては激しい怒りを禁じ得ませんでした。陶酔しながらムルソーの非道徳性を責め、ムルソーを死刑にすることに明確に快感を覚えていた検察官や、中立性を放棄した裁判官には、人類が内包している悪がありありと描かれていたと思います。

 差別と私刑主義はSNSの隆盛により、人類史上最も盛んになっているように感じます。KKKとか昔からあるモノですが、とにかく裾野がめちゃくちゃ広がってしまった。そのため、異邦人排除という人間がデフォルトで持っている悪が実現されやすい環境になっていると思います。従って、本作はむちゃくちゃ現代的な物語だと思いました。


 ヴィスコンティ作品としては絢爛さが乏しく、地味な感じ。超メジャーな原作に配慮したのかな、と想像します。ただ、ゲイだったヴィスコンティにとって、私刑は身近な恐怖だったと想像します。もしかすると、原作よりもその辺は強調されているかもしれませんね。

 読書苦手な自分は原作未読。上記の感想はあくまで映画を観てのものです。
 アルベール・カミュは顔がジョー・ストラマーに少し似ているので好感は持ってます。しくじるなよ、ルーディ!


【おまけ】
 本作は楽天TVのレンタルと紐付いていますが、クリックするとなぜかダスティン・ホフマンの『卒業』に飛びます。なんだこのバグは??
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